診療データ

2014年診療データ

2014年1月~2014年12月

歯磨き以外でお口の中を清潔・健康に保つためにあなたが心掛けていることは?

これは2008年にインターネット上で行なわれた「歯磨き以外でお口の中を清潔・健康に保つためにあなたが心掛けていることは?」というアンケートの結果です(ネットリサーチディムスドライブ調べ)。結果をみると、11,963人の回答者のうち、「歯科で定期的に検診を受けている」と答えた人がわずか1.5%しかいないことが分かります。歯科医療におけるメインテナンス、すなわち「健康を守るための歯科受診」の重要性が医療従事者の間では以前より一般的になったとはいえ、国民にはほとんど普及しておらず、 「病気になってからの歯科受診」が一般的であることが分かります。

初診時の口腔内状態

当院に初めて来院された患者さんにおける、むし歯の本数、歯周病の進行度、健康患者比率を年代別に調査した結果を示します。

1.むし歯の本数(DMFT数)

サリバテスト(唾液検査)実施者(永久歯を有する者に限る)236人のむし歯の本数の合計であるDMFT数を調査しました。

※DMFTとは、未処置のむし歯、治療済みの歯、抜歯に至った歯を合計した歯数を示します。

2.歯周病の進行度

歯周精密検査実施者173人における、歯を支える骨の減少の程度を、健康・軽度・中等度・重度に分類し、調査しました。

3.健康患者比率

「むし歯9本以下・歯周病軽度以下・残存歯数28本以上」の患者さんを「健康患者」と定義し、その割合を調査しました。

年齢を重ねる程、むし歯の本数が多い方、歯周病の進行している方の割合が高くなることが分かります。そして、40代以上になると健康ないし病気が軽度の方はほとんどいないことが分かります。現在、日本人が歯を失う二大原因は「むし歯・歯周病」と言われていますが、これらの疾患は予防可能な病気であることが分かってきています。よって、若いうちからこれらの疾患の発症を未然に防ぎ、健康を保つことが重要です。

年齢を重ねる程増加するむし歯と歯周病。そして、大半の人が病気になってから受診しています。
病気にかかる前に発症を未然に防ぎ、健康を保つことが大切です!

メインテナンス結果(成人)

1.メインテナンス来院状況

2013年1月~2014年12月に来院した患者さん(2,258人)を来院目的別に分類し、その割合を調査しました。また、メインテナンス目的の患者さん(453人)については、下記の条件で分類し、その割合を調査しました。

定期患者
決められたメインテナンス70%以上来院
不定期患者
上記の条件を満たさないがメインテナンス目的で来院

2.メインテナンス中の1人当たり平均喪失歯数と喪失理由

2014年のメインテナンス中に抜歯となった歯牙数(初診時に抜歯適応と診断された歯と親知らずを除く)とその理由を、「8020推進財団の永久歯の抜歯原因調査(2005年)」と比較しました。8020推進財団の調査結果は、日本人の典型的な抜歯本数、理由を示すものです(メインテナンス受診の有無に関わらない)。当院の抜歯については、治療における抜歯は含まず、メインテナンス中のみを対象にしているため、本数が少なくなっています。抜歯に至った理由については、むし歯、歯周病が約3/4を占めています。よって、むし歯、歯周病にならないことが、抜歯を回避するためには必要ということが言えます。メインテナンスを継続していくと、これらの疾患が予防できるという調査報告があり(Dr.アクセルソン調べ、2004年)、当院でも長期メインテナンスの結果を示すため、今後もデータを蓄積していくと共に、皆さんに開示していきます。

3.残存歯数の変化

当院のメインテナンス患者さんと歯科疾患実態調査(6年毎に厚生労働省が行う無作為抽出調査で、日本人の平均的なお口の状態を示すもの)の、現在歯の本数を比較した結果を示します。歯科疾患実態調査によると、一般的な日本人は40歳ころから歯が無くなり始め、60歳を超えたあたりから急速に歯を失っていき、80歳で平均12本しか歯が残りません。一方、継続的にメインテナンスを受けている患者さんの、メインテナンス10~15年間の10年あたり平均喪失歯数は、40代で0.19本、50代で0.81本、60代で1.11本、70代で1.53本であったとの調査報告があります(日本ヘルスケア歯科研究所会誌第8巻1号より)メインテナンスによって、歯の喪失を防ぎ、80歳でも健康な28本の歯を維持することが目標となります。そのためには、「病気になる前」の受診、すなわち子供の頃からの「むし歯をつくらない」歯科受診が重要です。もちろん、すでに病気にかかってしまった人も、諦めずにご来院下さい。これ以上悪くしないように、1本でも健康な歯を残すために、歯医者を利用しましょう。

むし歯・歯周病は予防できる病気です。病気になってからではなく、病気にならないように継続してメインテナンスを受診し、生涯健康な28本の歯を維持することが目標です!

メインテナンス結果(小児:19歳以下)

1.メインテナンス来院状況

2013年1月~2014年12月に来院した患者さん(663人)を来院目的別に分類し、その割合を調査しました。また、メインテナンス目的の患者さん(209人)については、下記の条件で分類し、その割合を調査しました。

定期患者
1年以上あかずに継続的にメインテナンスに来院
不定期患者
過去に1年以上間隔があいたことがあるがメインテナンス目的で来院

2.年齢別DMFT数とカリエスフリー率(むし歯ゼロ)

DMFTとは、未処置のむし歯、治療済みの歯、抜歯に至った歯を合計した歯数を示します。当院でメインテナンスを受けている患者さんと、歯科疾患実態調査の結果を比較しました。むし歯は思春期に急増、むし歯ゼロの子は年齢とともに減っていくことが分かります。当院では「むし歯をつくらない」治療、すなわちメインテナンスによって、むし歯の発症を防ぎ、むし歯ゼロの子供たちを一人でも多く育てることを目標としています。

一度削ってしまった歯は決して元には戻りません。むし歯になる前に、「むし歯をつくらない」治療を始め、大人になってもむし歯ゼロを目指しましょう!健康な永久歯列は、親から子への最高のプレゼントです。